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看板で語る「暮らし方の提案」──BESSパートナーズ富士営業所の看板戦略

2026年6月10日

タイトル画像:看板で語る「暮らし方の提案」──BESSパートナーズ富士営業所の看板戦略


道路脇に並ぶ看板群の中に、それはある。葬儀社、建設会社、工務店の看板が競り合うように立ち並ぶ一角に、白地を基調にした一枚の案内板が静かに主張している。「BESSの家 展示場 400m先左折」。派手な色使いも、大きなキャッチコピーも、目を引くタレントの顔写真もない。あるのは、レンガ造りの2階建て住宅のイラストと、緑の芝生に伸びる樹木、そして黄色い矢印だけだ。

この看板を前に少し立ち止まって考えてみると、実に多くのことが見えてくる。


BESSとはどんな会社か

イメージ画像:ログハウスと富士山


BESSは株式会社アールシーコアが展開するログハウス・自然派木の家のブランドである。「家は道具」という哲学を掲げ、人生を思いっきり楽しむための「いちばん大きな道具」として家を位置づける。無垢材をふんだんに使い、時間とともに価値を増す「経年愉化」の概念を大切にする。「人間も自然の一部」という思想のもと、豪華さよりも自然と共に生きる暮らしを提案する──そんな一貫したライフスタイルブランドである。

カントリーログ、G-LOG、ワンダーデバイス、栖ログ、程々の家など複数のシリーズを展開し、全国各地に「暮らしの体感展示場」を構える。展示場では単に家を見るのではなく、「何時間でも自由に過ごしていただける」ことを前提とした空間づくりを行っている。

富士エリアの展示場を運営するのは株式会社BESSパートナーズ(本社:東京都渋谷区)だ。ログハウスをはじめとした自然派個性住宅の販売・設計・施工・メンテナンスまでを一気通貫で手がける。BESS富士の展示場は静岡県富士市伝法676-3に位置し、富士山を望む自然豊かな地に根ざした営業拠点となっている。


総合住宅展示場には入らない、という選択

イメージ画像:大自然の中に佇むログハウス


一般的な住宅メーカーは、幹線道路沿いの一等地にある集合型住宅展示場に出展することで集客を図る。大手ハウスメーカーがずらりと並ぶあの光景は、消費者にとって「住宅を比較・検討する場所」として定着している。ところがBESSは、あえてその舞台には立たない方針をとっている。

理由はコンセプトの根っこにある。BESSが届けようとしているのは、「住宅という商品」ではなく、「その家に住む生き方そのもの」だからだ。「住むより楽しむ」という言葉が象徴するように、BESSの展示場は暮らし方を体感する場所であり、単なる比較検討の場ではない。大手メーカーが並ぶ総合展示場の一区画に収まった瞬間、その世界観は希薄になる。だからこそ、独自の展示場を構えることにこだわる。

その結果として、BESS富士の展示場は一等立地には存在しない。むしろ、BESSの家にふさわしい自然豊かな場所に構えている。幹線道路から少し奥まった、緑に包まれた土地──それ自体がブランドの主張だ。「こういう場所に、こういう家がある」というメッセージを、立地そのものが体現している。


看板が語る「展示場への道標」

イメージ画像:BESSの野立て看板


しかし、わかりづらい立地には欠点もある。初めて訪れる人が迷わず辿り着けるよう、周辺道路への案内が必要になる。そこで機能するのが、今回の野立て看板である。

あらためて看板を見る。「BESSの家 展示場」という文字と、白い外壁にレンガのアクセントが映える2階建て住宅のイラスト。その家の手前には手入れされた芝生、瑞々しい緑の樹木。シンプルなイラストながら、家の前で楽しそうに佇む人々の様子が脳裏に思い浮かぶ、そんな楽しいアイコンになっている。そして、黄色の大きな矢印が「400m先左折」と告げる。

この看板が担う役割は、第一義的には「道案内」だ。富士市の幹線道路を走るドライバーに対し、展示場の存在と場所を伝えるナビゲーションである。しかし、それだけではない。

イラストに描かれた家は、いわゆる一般的な建売住宅の外観とは明らかに異なる。レンガ調の外壁、緑に包まれた庭、木の風合いを感じさせる佇まい。「こういう家があるんだ」という視覚的な驚きと、「一度見てみたい」という来場動機の醸成──この看板はたった一枚で、その両方を同時に果たしている。


屋外広告としての戦略的な意味

イメージ画像:女性が運転していて何か発見した様子


住宅購入は人生で最も大きな買い物の一つだが、そのきっかけはしばしば偶発的な「出会い」から始まる。「なんとなく気になって展示場に立ち寄った」「看板を見て初めて存在を知った」──そうした体験談は、住宅業界では珍しくない。

BESSのような個性的なブランドにとって、屋外看板の役割は特別に大きい。なぜなら、BESSが提案するライフスタイルは、ログハウスや木の家に馴染みのない人々にとって、まだ「選択肢の中に入っていない」からだ。デジタル広告は検索意図のある人にしかリーチしない。しかし看板は違う。日常の通勤や買い物の途中で、能動的に探してもいなかった潜在顧客に、初めてBESSという世界観を届けることができる。

そして、この看板が持つもう一つの意味がある。大手ハウスメーカーが集う総合住宅展示場とは別の選択肢が、この街にも存在するという宣言だ。周囲に並ぶ看板群の中に、BESSの白と緑の看板は落ち着いた存在感を放つ。過度に主張しない、しかし確かに目に留まる。そのトーンは、BESSブランドが全体で発信するメッセージ──「声高に売り込まない、でも価値を確かに持っている」──と見事に一致している。


看板が伝えたいこと

イメージ画像:大自然に幻想的に佇むログハウス


この一枚が地域の消費者に語りかけているのは、単純な「展示場の場所」ではない。「あなたの隣に、そういう家の世界がある」というメッセージだ。

自然素材を使い、家族と庭と木と風の中で暮らす──そんな生活を、富士市という土地で手に入れることができる。大手メーカーの展示場とは違う道を、この看板は静かに指し示している。400メートル先の左折地点に、その入り口がある。地味なようで、実は深い。その奥ゆかしさもまた、BESSらしいブランドの佇まいである。