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英国航空の野立て看板キャンペーンの成功事例
広告業界において、セオリー破りの戦略は時に驚くべき効果を発揮します。
その一例として、英国航空(British Airways)が挑んだ野立て看板広告キャンペーンが挙げられます。
このキャンペーンは、全11種類、合計324本の看板をエジンバラ、カーディフ、マンチェスター、そしてロンドン中心部のピカデリーサーカスなど、イギリス全土に展開しました。
このキャンペーンの特筆すべき点は、従来の広告の常識を覆す手法です。
看板には、広告コピーもBritish Airwaysのロゴマークもほとんど掲示されていません。
代わりに、飛行機の窓から外を眺める乗客の顔を、まるで飛行中の機体の外から撮影したかのようなビジュアルが配置されています。
この一見すると何を宣伝しているのか分からない広告が、実は多くの人々にBritish Airwaysの広告であると認識されるという驚きの結果を生みました。
この広告キャンペーンの真の狙いは、経済的なメリットを強調するLCC(格安航空会社)との差別化を図ることでした。
飛行中の窓の外から撮影されたようなビジュアルは、「旅の楽しみはフライト中から始まっている」というメッセージを消費者に強く訴えかけました。
旅の価値は単なるコストパフォーマンスでは計れないという英国航空の信念が、この斬新な広告手法を通じて見事に伝わりました。
見事なブランディングとメッセージ性です。
世界で最も権威ある広告アワードである「カンヌライオンズ2024」。
世界各国からの応募総数2万点以上の広告作品の中で、この英国航空の野立て看板キャンペーンが最高賞のグランプリを受賞しました。
斬新な発想とユーモア、そして広告の定石を壊しながらも、イギリスの消費者と強いエンゲージメントを生んだことが高く評価されたのでした。
従来、看板広告といえば、自社や自店舗、自社商品・サービスの魅力を正面から訴求するのが定石でした。
しかし、このキャンペーンはその常識を覆し、見る者に驚きと新たな視点を提供しました。
企業名や連絡先すら掲示しないという一見リスキーな手法が、かえって消費者の興味を引き、深い印象を与えたのです。
まさに「ひとりよがりの常識」に囚われない広告戦略の勝利といえるでしょう。
英国航空の野立て看板キャンペーンは、広告の定石を破ることで新たな可能性を示し、消費者に強いメッセージを伝えることに成功しました。
この挑戦が、多くの人々の注目を集め、広告業界においても一石を投じたかもしれません。
旅の価値を再認識させるこの斬新な広告戦略は、今後の広告手法における新たな指針となることでしょう。
■実際の野立て看板の写真はこちら
https://www.thedrum.com/news/2024/03/28/british-airways-outdoor-ads-capture-passenger-s-faces-35000ft