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コラム 2024/06/19号 自転車に乗る喜びを取り戻すための「野立て看板」が全米に広まって大きな話題を呼んだ理由とは?
風を感じながら、自由に走る喜び。子供時代の懐かしい記憶のひとつには、自転車に初めて乗れた瞬間がある人も多いことでしょう。しかし、今のアメリカでは12人に1人の子供がその喜びを経験できずに育っています。親たちもまた、子供が安全に自転車に乗れる場所がないと感じており、その割合は5人に1人以上にのぼります。
とはいえ、現代の子供たちや親たちは、屋内活動への不安を抱えていることも事実。そのために、安全な屋外活動を望んでいます。
それにもかかわらず、自転車の乗り方を教えることの重要性が軽視され、実際に乗ることのできない親も多い。そこで、マサチューセッツ州のNPO団体であるCYCLE Kidsが立ち上がりました。
CYCLE Kidsは、“自転車に乗るという行為は子どもたちの健全な成長のために欠かせない行為である”という信念のもと、すべての子供に自転車を配るための活動をしています。そのために、次のような目標を掲げています。
1. 自転車を買う余裕のない子供たちに自転車を提供すること。
2. 子供たちが安全に自転車に乗れるようにすること。
3. 企業との長期間のスポンサーシップを求めること。
4. 自転車に乗ることが子供たちの発達にどれほど重要かを企業に啓蒙すること。
同協会は、子供たちが自転車に乗り、楽しめるようになることで、人生の「困難なこと」を克服するための自立心を養う小さなきっかけになると信じています。だからこそ、自転車に乗れない子供が増えていることに危機感を抱くわけです。
自転車は子供にとって、自立、可能性、自信を味わう初めての機会。寄付を検討する企業には「自転車に乗れるようになれば、成長を持続できる」と伝えています。
というわけで、CYCLE Kidsは魅力的な屋外広告キャンペーンを展開しました。
広告には、SNSで拡散されるようなデザインとともに、同協会の思いをメッセージにしたキャッチコピーを添えて寄付者を刺激しました。
キャッチコピーは「Afford the wind in their hair(風を感じる贅沢を手に入れよう)」と「Help kids ride away from problems(子どもたちが問題から逃れられるよう手助けしよう)」の2種類。
これらのコピーは、「自転車に乗れれば、何でもできる」という強烈なメッセージになっています。
このキャンペーンは、多くの消費者にSNSで拡散されました。その結果、Instagramアカウントへのリーチ数は過去3か月と比較して524%も増加し、キャンペーン開始からわずか3か月で、30以上のプログラムに寄付が集まりました。
今回ご紹介した事例から、私たちはひとつの教訓とアイデアを得ることができます。
それは、野立て看板は、SNSと非常に親和性が高い広告媒体であるということ。広告のコンテンツを、SNSで取り上げられやすいビジュアルとコピーにすることで、看板を目にした消費者が「これはSNSに投稿しなくっちゃ」という自主的な使命感を持ってくれます。本来なら限定的な地域内での認知度向上を担う広告を、戦略的にSNSで拡散されやすい広告にすること。その結果、情報発信範囲が、看板だけのものとはけた違いな広さに広がっていきます。
このメルマガ内でも何度か取り上げましたが、世界的な有名企業が、近年こぞって野立て看板をはじめとする屋外広告への出稿量を増やしている理由がここにあります。極めて費用対効果に優れ、極めて広告効果の高い仕組みを作ることが可能となるのです。
では、実際の看板写真をご覧ください。